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佐藤工務店のあれこれ

6地域において第1種熱交換換気VS第3種換気どちらが良いの?

松尾設計室の松尾先生が一種換気付けた方が良いかどうか自分で判断する方法という動画をアップしました。 いつもながら感覚では無く数値に基づいた判断は流石だなと思いました。


そこで、弊社の建築可能圏内である気候区分6地域において、弊社の標準断熱仕様の家の場合、第1種熱交換換気と第3種自然吸気機械排気について、年間を通してどちらがお得かを計算してみます。

まず評価するには諸条件が必要です。

建物の大きさ、形状、気象条件、建物の性能、室内の快適温度設定などがあります。

建物の条件

大きさは平面的には10mx6mで高さが1階2階とも2.5mの階高で合計5mの総2階建て


延べ床面積:60㎡x2階=120㎡ 外皮面積(6面):(10×5+10×6+5×6)x2=280㎥ 気積:5x6x10=300㎥ 必要換気量:0.5回x300㎥=150㎥/h 外皮の断熱性能UA=0.44w/㎡k 室内快適温度:冬22℃ 夏26℃

気象条件は埼玉県さいたま市1981年~2010年までの30年間平均、現在は温暖化で平均温度は上がっていると思われる。


冬期5ヶ月間(11~3月、150日)  外気温6.5℃ 室温22℃ 温度差15.5℃ 夏季3ヶ月間(7月~9月、90日)  外気温24.8℃ 室温24℃ 温度差0.8℃

まずは冬

建物からの熱がどれだけ逃げるか

0.44w/㎡k x280㎡ x15.5℃=1,910W

換気扇からどれだけ熱が逃げるか

第3種の場合 0.35w/㎡k(定数) x150㎥ x15.5℃=814W +1,910W(建物からの熱ロス)=2,724W 暖房期間5ヶ月では 2,724Wx24時間x150日=9,864kwh

第1種熱交換の場合(熱交換値80%カタログ値) 0.35w/㎡k(定数) x150㎥ x15.5℃x20%=163W+1,910W=2,073W 暖房期間5ヶ月では 2,073Wx24時間x150日=7,586kwh


第3種と第1種熱交換換気の差は 9,864kwh-7,586kwh=2,278kwh となる。

これをエアコンを使って暖房すると、エアコンの暖房時の熱効率をCOP3(1の電気エネルギーを3倍の熱エネルギーに変えてくれる)と少なめにしても 2,278kwh÷3(COP)=759kwhとなり日中の電気代を28円/kwhとすれば 759kwhx28円/kwh=21,252円(150日)となる。

次に夏

建物へ熱がどれだけ進入するか 0.44w/㎡k x280㎡ x0.8℃=98W

換気扇からどれだけ熱が逃げるか

第3種の場合 0.35w/㎡k(定数) x150㎥ x0.8℃=42W +98W(建物からの熱ロス)=140W 冷房期間3ヶ月では 140Wx24時間x90日=302kwh

第1種熱交換の場合(熱交換値80%カタログ値) 0.35w/㎡k(定数) x150㎥ x0.8℃x20%=28W+98W=126W 暖房期間5ヶ月では 126Wx24時間x90日=272kwh

第3種と第1種熱交換換気の差は 302kwh-272kwh=30kwh となる。

これをエアコンを使って暖房すると、エアコンの冷房時の熱効率をCOP5(1の電気エネルギーを5倍の熱エネルギーに変えてくれる)と少なめにしても 30kwh÷5(COP)=6kwhとなり日中の電気代を28円/kwhとすれば 6kwhx28円/kwh=168円(90日)となる。

それでは5、6、10月の中間期は1種も3種も変わらないとして、冬150日と夏90日 のエネルギー消費の差は 21,252円+168円=21,420円—-①となり第1種熱交換換気の方がお得になる。

やっぱり1種熱交換の方がお得よね、と思われるか。

1年間でったたの2万円かよ!と思われるか人それぞれです。

つまり、私どもさいたま市周辺の場合、冬の室内外温度差が5ヶ月平均で15.5℃しかないのでこのような結果となりましたが、北海道のように外気温平均が-5℃程度になると内外気温差は25℃になるわけでこの温度差が多ければ多いほど熱交換型の換気扇がお得になってゆきます。

次に換気扇のランニングコスト(電気代)の話し

第1種熱交換換気の場合48W パナソニックDCモーター140㎥/hタイプ 

第3種換気の場合1.9W パナソニック100ΦDCモーター55㎥/hタイプx3台=5.7W

1種と3種の消費電力差は42.3Wx24時間x(150日+90日)=243kwh

金額にして243kwhx28円/kwh=6,804円—-②

熱損失①-ランニングコスト②の合計は

21,420円-6,804円=14,616円—–③ 1種の方が14,000円/1年間お得。

イニシャルコストは断然3種パイプファンがお得、ダクト式の1種熱交換換気システムとの差額はおおよそ40万円をランニングコストの差で割ると 400,000円÷14,616円=27.3年となる。

つまり元を取るには27年掛かると言うこと。

さらにフィルターの交換(5年毎5千円)とモーター、熱交換器(10数年毎 5万円) そもそも本体の寿命は30年くらいでしょうか。

また熱交換効率80%はカタログ値の話なので諸々比べると50年近く係るのではないかと思われます。

ちなみに第3種パイプファンの場合壊れたときは交換の時 1台役1万円x3台で3万円程度です。

いかがでしょうか?

1種にしろ3種にしろ吸排気部分の清掃は欠かせません?

ダクト内の清掃の問題はちょっとグレーです、と言うかなかなか掃除をする方法がありません。

貴方はそれが出来ますか?

出来ないと、絵に描いた餅、健康を害する凶器となってしまいます。

換気に関してはもと、北総研(地方独立行政法人 北海道立総合研究機構)の福島先生が「キレイ空気Lab」にてわかりやすく解説されております。

私が属している自然換気について研究している「パッシブ研究会」の顧問としてお話をお聞きする機会が多く

換気に関しては絶対に信じて良い先生だと思います。

メンテナンスについては私のブログもご参考に

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